開院と初期の運営

冬野療養院は、病気やけがのため長く休養する子どもや若者を受け入れる私設施設として、1958年に開院しました。開院時に使われていたのは本館と東棟です。診察と安静のほか、体調に応じた学習や日常生活の練習も行っていました。

当時の施設案内には、退所後の通学や家庭での生活について、本人と家族から相談を受けることも記されています。

雪の残る庭園から見た、白い木造二階建ての冬野療養院
施設写真 A-01-4

正面庭園から本館と西側増築部を望む。1976年2月、広報係撮影。

西棟の増築

利用者の増加に合わせ、1974年に西棟を増築しました。西棟には長期滞在用の居室、作業室、物品を保管する保全庫が置かれました。増築後も食堂や庭園は各棟で共用し、行事は施設全体で行っていました。

1981年には、西棟で使う保管票と退所時の手続き書類を改定しています。現存する用紙の一部は、個人を特定できる記載を除いたうえで保存対象となりました。

地域との関わり

庭園を使った春の園芸会と、食堂で開かれた冬の読書会は、長く続いた院内行事です。保存会へ寄せられた手紙には、退所後に行事を訪ねたことや、庭の手入れを手伝ったことも書かれています。

初夏の庭園にある円形の噴水と、その奥に見える白い木造病棟
庭園写真 G-07-3

本館前庭の噴水と初夏の植栽。1984年6月、施設職員撮影。

こうした行事を通じて、退所後も施設と関わった人が地域に多くいました。

運営の縮小

利用者数が減り始めた1990年代後半から、古い病棟の使用範囲を段階的に縮小しました。1998年には西棟の閉鎖に備え、保全庫に残っていた台帳と物品の引継ぎ票を作成しています。

2008年からは、建物図面や管理台帳の電子化を始めました。紙の原本はすべて残っているわけではなく、現在の公開資料には当時の電子データから復元したものも含まれます。

閉院と資料保存

建物の老朽化と利用者数の減少を受け、冬野療養院は2025年3月31日に閉院しました。運営法人の清算と建物解体の準備に合わせ、元職員、元利用者の家族、地域の資料館関係者が資料の選別を進めています。

2026年4月から、公開審査を終えた資料の掲載を始めました。個人情報を含む資料や、保存先が決まっていない資料は公開していません。

閉院前に届いた手紙

閉院が決まった後、元利用者や家族から手紙や写真が寄せられました。次の手紙は2025年3月に届いたものです。差出人の氏名と連絡先は公開していません。

机の上で撮影された、元利用者から冬野療養院へ宛てた手書きの手紙
寄贈資料 A-17-2

元利用者から届いた手紙。2025年3月受付。

冬野療養院のみなさまへ

長いあいだ、お世話になりました。
庭の木の名前を、ここでたくさん覚えました。
退所したあとも、冬の読書会へうかがうのが楽しみでした。
建物がなくなると聞き、さびしく思います。
どうかお元気で。

二〇二五年三月 元利用者より

主な出来事

  1. 施設開設

    本館と東棟の運用を開始。

  2. 西棟増設

    長期滞在区画、作業室、保全庫を整備。

  3. 西棟の記録様式を改定

    保管物と退所時の手続きに使う用紙を差し替え。

  4. 紙台帳の整理

    西棟閉鎖に先立ち、記録係が保全庫の引継ぎ票を作成。

  5. 施設資料の電子化開始

    管理台帳と建物資料を段階的に電子化。

  6. 閉院

    3月31日をもって運営を終了。

  7. 資料掲載開始

    公開審査を終えた資料の掲載を開始。